異の誓い 異の誓い

これは、人になれなかった少女たちの話。

幼き少女たちは人から愛を受けられず、
次第にこの世界に絶望していきました。

そんなある日、少女たちは巡り合い、
初めてで、唯一の友達が出来ます。

少女たちは、誓いを結びました。
「ずっと一緒にいようね」

しかし……そんな淡い約束は
悪意ある大人に引き裂かれてしまいました。

連れ去られた彼女を取り戻すため、
またこの世界に復讐するため……
片割れの少女は、旅に出ました。

これは、人になれなかった少女たち——
異の、誓いの物語。

逆戟さかまためきる

人七割、シャチ三割のキメラ。
シャチ好きな母親が生み出してしまった存在で、この世界でキメラは一般的ではなかった。
自らを含めた人間を憎く思っていたが、そんな時に同じく人扱いしてもらえなかった夢伽無禄と出会い、人生が大きく転換する。
毎日毎日、彼女の顔を見るために学校に行って、その足で近くの廃墟や人の来ない教会に行き、ゆったりとした時間を過ごしていた。

だが、ある時夢伽の命が狙われてしまう。彼女が「ここに隠れてて」と言って動けなかっためきるは、結果的に目の前で大事な人を手放してしまった。
その衝動とも言える感情に突き動かされ、めきるは自ら飛び出す。銃の扱いどころか戦ったことすら無かったが、何故か馴染むように敵達を蹂躙する。

そこで彼女はようやく気付いた。シャチのキメラの自分には、「殺し屋」の才があったことに……

夢伽ゆめとぎ無禄むろく

超蓄髪型アルビノ族、と呼ばれる特殊な一族の末裔。
名前の通り真っ白で美しい髪は数日で床についてしまうほど早く伸びる。その上その毛で作られた布製品は一流の高級品で、常にこの一族は命を狙われ続け年々数が減っている。
その特殊な見た目、突き刺すような赤い目、貧しさ故に古びた服など、彼女はいじめっ子にとって恰好の的だった。そんな彼女が生きる理由は、本を読むことだけだった。

そんなある日、同じような境遇のめきると出会う。
「無禄」という何とも身勝手な名前が嫌だ、と言ったらめきるは「じゃあ夢伽(ゆめか)ちゃんって呼んでもいい?」とたずねた。彼女はそれがとても嬉しくて、ずっと大事な思い出になった。

幸せな日々というのは長くは続かぬもので、彼女は命を狙われてしまう。けれど、めきるを巻き込みたくなかった夢伽は、自ら連れ去られることを望んだ。
それがめきるの心にどれだけの傷をつけるかも知らずに……

異の誓い_誓い 異の血海 異の誓い_終焉